2017年4月より実施 0.25%へ
〇標準利率とは
保険会社は将来の保険金などの支払のために、「責任準備金」というものを備えなければなりません。
その責任準備金を算出する時に使う利率のことを標準利率といいます。
契約者が支払う保険料の一部は、保険会社が債券や株式、不動産等に投資して運用しています。その運用で見込める利回りを予定利率といい、予定利率が高いほど保険料は安くなり、低いほど保険料は高くなります。
生命保険会社が予定利率を決める際、金融庁が定める標準利率を指標にしています。
そのため、標準利率が下がるという事は、予定利率も下がることになるので、結果、保険料の値上げが発生してくる可能性が高くなります。
〇標準利率の推移
1980年代には約6%あった標準利率も2017年には0.25%となり史上最低水準となります。
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〇標準利率はどのように決めるの?
標準利率には、一時払終身用、一時払養老用、平準払用の3種類があります。
すべて国債の利回りの一定期間の平均から算出されます。
平準払用では以下の内容で算出していきます。
・過去10年国債応募者利回りを基礎データとする。
・毎年10月1日における「過去3年の10年国債応募者利回りの平均」と「過去10年の10年国債応募者利回りの平均」のうち低い方を対象利率とする
・対象利率に安全率係数をかけたものを基準利率とする。
・基準利率が現在の標準利率から0.5%以上乖離していた場合には、翌年4月1日以降から標準利率を改定する。
・改定後の標準利率は、基準利率を0.25%単位で丸めた値。
(平成8年大蔵省告示第48号より抜粋)
2016年9月1日に10年国債の入札があり、応募者利回りが決定しました。
過去3年間の10年国債応募者利回りの平均は0.361%
過去10年の10年国債応募者利回りの平均は0.983% でしたので、上記の規定より低い方の過去3年間の10年国債応募者利回りが適用され、対象利率は0.361%が基準となります。
対象利率に安全率係数をかけたものが現在の標準利率1%とは、0.5%以上の乖離があるため、結果、2017年4月からの標準利率は「0.25%」となります。
なお、法令上、標準利率は円建て商品のみに適用され、外貨建商品には適用されません。
〇標準利率が下がると影響を受けやすい商品
影響が大きいのは、貯蓄性のある保険商品となります。
具体的には「終身保険」「個人年金保険」「学資保険」「養老保険」等。
なお、標準利率の改定に伴う保険料の改定のタイミングは保険会社ごとに異なりますのでご注意ください。
〇今後の標準利率の改定は?
標準利率が上がるには、基準利率が現在の標準利率より0.5%以上の乖離が必要となります。
「現在の標準利率0.25%」+「0,5%」=0.75%
基準利率が0.75%以上になることが必要です。また、10年国債の応募者利回りの平均が、3年、10年のデータとして必要になるので、10年国債の応募者利回りが0.75%よりも少し上回る環境が継続しないと標準利率のアップは難しいことになります。